アメリカ議会で注目を集める法案がある。それが「Anti-CBDC Surveillance State Act(反CBDC監視国家法案)」だ。
この法案は、連邦準備制度(FRB)が監視性の高い中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行することを制限する内容で、トム・エマー下院議員が中心となって推進している。
生成AIやステーブルコインなどと並び、デジタルドルのあり方は今や国家戦略の一部となっている。果たして、この法案はデジタル通貨の未来にどのような影響を与えるのか?本記事では、法案の背景と今後の展望を詳しく解説する。
米国「Anti-CBDC法案」が注目される理由とは?デジタルドルへの影響と今後の展望
アメリカ連邦準備制度(FRB)の中央銀行デジタル通貨(CBDC)発行に対し、議会から明確な制限を加える動きが出ています。2025年7月、米下院で「Anti-CBDC Surveillance State Act(反CBDC監視国家法案)」が可決され、FRBの権限を制限する可能性が浮上しました。
反CBDC法案の概要と目的
この法案を推進しているのはミネソタ州選出のトム・エマー議員で、法案の目的は以下の通りです:
- FRBが「監視型デジタル通貨」を発行するのを阻止
- もしCBDCを発行する場合、現金と同様に「開かれた」「許可不要な」「プライベートな」形でなければならない
法案の文面では、FRBがCBDCに似たデジタル資産を発行することを禁じる条文が盛り込まれています。
「Crypto Week」での進展
この法案は、共和党が「Crypto Week」として掲げた3つの法案の1つとして下院を通過しました。
他の2つは:
- 安定通貨(ステーブルコイン)を規制する「GENIUS法案」
- 暗号資産市場の構造を明確化する「CLARITY法案」
この中でGENIUS法案のみがすでに上院と大統領(トランプ)によって承認され、正式に法律となりました。
上院での動きと今後の焦点
米議会は8月中に夏季休会に入りますが、上院は休会直前までCBDC法案やCLARITY法案の審議を進める見込みです。
特にCLARITY法案を10月前までに成立させるというのが共和党の優先目標とされています。
また、上院銀行委員会のデジタル資産小委員長である**シンシア・ルミス上院議員(ワイオミング州)**は、仮想通貨規制とトランプ政権の人事承認を進めるため、8月も議会を継続する可能性があると表明しています。
今後の注目点
- CBDC発行のあり方に法的制限が加わる可能性
- CLARITY法案による暗号資産市場のルール整備
- 米国の仮想通貨政策と大統領(トランプ)政権の影響
中央集権的なCBDCに対する懸念が強まる中、アメリカの今後の法整備は、グローバルなデジタル通貨政策にも大きな影響を与えることになりそうです。
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