
Brazilian Drex CBDC、ブロックチェーンを断念し2026年に集中型で導入へ
ブラジル中央銀行が進める中央銀行デジタル通貨(CBDC)「drex」は、当初想定されていたブロックチェーンやトークン化の要素を大幅に削減し、集中型アーキテクチャで2026年に導入されることが明らかになった。地元メディアの報道によると、最大の理由はプライバシー技術の未成熟であり、金融システムに求められる水準に達していなかったことが背景にある。
■ 導入計画と2段階の実施
drexプロジェクト責任者のファビオ・アラウージョ氏は、次のように説明している。
- 第1段階(2026年開始予定):分散型要素を含まない集中型モデルでの稼働
- 第2段階:将来的にブロックチェーン技術を成熟させたうえで段階的に実装
この変更により、パイロット段階で検証された多くのユースケース(特にスマートコントラクトや高度なプログラマビリティを伴うもの)は実現が困難となる見込みだ。
■ プライバシー問題が最大の障壁
ブラジル中央銀行はこれまで、イーサリアム互換のオープンソース基盤「Hyperledger Besu」を利用する方向性を打ち出していた。しかし、昨年から続く課題である取引レベルの秘匿性と検証可能性を同時に満たすプライバシー技術が十分に機能しないことから、分散型案は断念された。アラウージョ氏は「良い解決策は見つかったが、金融システムに必要な堅牢さにはまだ至っていない」と述べている。
■ 集中型モデルでの機能
新たな集中型drexは、当面の機能として担保付き信用取引のための「権利照合ソリューション」を提供する予定である。ただし、実装に必要な具体的なツールやインフラはまだ公表されていない。
✅ ポイントまとめ
- ブラジルCBDC「drex」はブロックチェーン要素を削減し集中型で2026年導入へ
- プライバシー技術の未成熟が分散型採用を阻んだ最大要因
- 初期フェーズでは基本的な信用取引機能に限定、将来的に分散型技術を再検討