
ルワンダ、CBDCプロジェクト再始動──ボツワナは導入可否の実現可能性調査へ
世界的にCBDC(中央銀行デジタル通貨)への関心がやや後退する中、アフリカではルワンダとボツワナがそれぞれ異なるアプローチで取り組みを進めている。
■ ルワンダ:国民参加型でデジタルフラン構想を推進
ルワンダ国立銀行(BNR)は小売向けCBDCのアイデアソンを開始し、国民・企業・スタートアップなど幅広い層から提案を募集している。これは「国家フィンテック戦略(2024–2029)」の一環で、イノベーションと競争を促進し、デジタル金融エコシステムを発展させる狙いだ。
- 目標とユースケース
- オフラインやUSSDで利用可能にし、停電や通信障害に強い決済システムを構築
- MTNとAirtelによるモバイル決済市場の二強独占を打破し、手数料を引き下げる
- キャッシュレス社会の加速と安価な国際送金を実現
BNRは既に限定的なユーザーを対象に5か月間のクローズドテストを実施中で、法制度・サイバーセキュリティ・決済システム統合などを重点的に検証。結果は10月初旬に公表予定であり、必ずしも即時導入を意味するものではないとしている。
地元フィンテック企業MvendのCEOであるボブソン・ルガンブワ氏は「小売利用を優先すべきだ。多くのユーザーが使うことで学習と改善が早まる」とコメントしている。
■ ボツワナ:CBDCの必要性そのものを検討
一方、ボツワナ中央銀行はCBDCの**実現可能性調査(feasibility study)**を開始。導入が必要かどうか、またデジタル資産の台頭が自国通貨プラ(Pula)の主権に脅威を与えるかを見極める段階にある。
- 背景
- 人口わずか250万人ながら、近年モバイル決済の普及で金融包摂が急速に拡大
- それでもなお国民の約3分の1は銀行口座を持たない
- CBDCがこのギャップ解消に役立つ可能性がある一方、導入リスクも慎重に評価中
✅ ポイントまとめ
- ルワンダ:CBDCを国民参加型アイデアソンで推進、支払い革新・安価な送金・市場競争促進を狙う
- ボツワナ:CBDC導入の是非を根本から調査、金融包摂強化の可能性を模索
- アフリカにおけるCBDCの動きは、実証フェーズと調査フェーズの二極化が進んでいる