🇮🇳 インド準備銀行(RBI)総裁、国際送金向けにCBDC推進を要請―「ステーブルコインよりもCBDCを」各国中銀に呼びかけ

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🇮🇳 インド準備銀行(RBI)総裁、国際送金向けにCBDC推進を要請―「ステーブルコインよりもCBDCを」各国中銀に呼びかけ

以下は、記事「RBI chief urges banks to back CBDC for cross-border payments」(Pradipta Mukherjee著、2025年11月5日)の詳細まとめです。

🇮🇳 インド準備銀行(RBI)総裁、国際送金向けにCBDC推進を要請―「ステーブルコインよりもCBDCを」各国中銀に呼びかけ

🇮🇳 インド準備銀行(RBI)総裁、国際送金向けにCBDC推進を要請

ワシントンで開催された世界銀行・IMF年次総会で、インド準備銀行(RBI)のサンジャイ・マルホトラ総裁は、各国の中央銀行に対し「国際送金の効率化にはステーブルコインではなくCBDC(中央銀行デジタル通貨)を優先すべき」と強く訴えました。

マルホトラ氏は、他国が導入を遅らせればCBDCの国際的な利点が制限されると警告し、「世界的な協調が必要だ」と強調しました。


💬 マルホトラ総裁の主張:なぜステーブルコインではなくCBDCか?

主な発言ポイント:

「他国もCBDCを採用しなければ、国際送金のメリットは得られない。CBDCはステーブルコインよりもはるかに優れている。」

マルホトラ総裁は、CBDCとステーブルコインを比較し、以下のように説明しました。

項目CBDCステーブルコイン
発行主体中央銀行民間企業・金融機関
安定性法定通貨と等価(国家保証)担保資産に依存
金融政策との整合性完全に連携可能政策制御を阻害する懸念あり
マネーロンダリング対策政府監督下で透明性高いリスクあり

マルホトラ氏はさらに、CBDCはステーブルコインの利便性を兼ね備えた「法定通貨のデジタル版」であり、
トークン化や国際送金コストの削減にも有効だと述べました。

「CBDCは“シングルネス(通貨の一体性)”と“信頼性”を両立している。」


🪙 インドのCBDC開発状況:パイロットからトークン化へ

RBIは2022年からCBDCパイロットを実施し、現在は7百万人以上の利用者を抱えています。

段階的な進展:

  1. 2022年11月1日:卸売CBDCパイロット開始
    • 政府証券市場の決済で試験運用
    • 参加銀行9行:SBI、HDFC、ICICI、HSBCなど
  2. 2022年12月1日:小売CBDCパイロット開始
    • デジタルウォレットで一般利用者が取引可能
  3. 2025年:金融資産のトークン化計画を発表
    • 卸売CBDCを活用し、譲渡性預金証書(CD)市場の効率向上を目指す。

RBIは、現時点で全面展開を急ぐ考えはなく、**「段階的な実証と制度整備」**を重視しています。


💳 国内決済はUPIが主導:CBDCの用途はあくまで“国際送金”

マルホトラ総裁は、国内決済においてはCBDCやステーブルコインの必要性は低いと明言しました。

「インド国内の決済はUPI(統合決済インターフェース)で十分。速く、安く、信頼できる。」

📈 UPI(Unified Payments Interface)の現状:

  • インドのデジタル決済の約85%を占有
  • 月間約200億件の取引、総額約2,800億ドル(約42兆円)
  • 小規模店舗や個人事業主にも普及し、金融包摂を加速
  • 研究によれば、UPI取引量1%増加でGDPが0.03%上昇との相関あり

🌐 国際連携:UPIのグローバル展開が進行中

RBIは、UPIの国際接続を通じてデジタル送金の国境を超える取り組みを推進中。

RBIの3つの国際戦略:

  1. 各国の高速決済システムとの連携(送金目的)
    • 例:インド=シンガポール間の「UPI–PayNow」リンク(すでに稼働中)
  2. QRコードを利用した海外商取引対応(P2M決済)
    • オフラインおよびECで利用可能に。複数国で展開済み。
  3. 他国へのUPI技術提供
    • ソブリン型決済ネットワーク構築を支援。
    • すでに複数国と実装契約を締結済み。

現在、UPIはUAE・シンガポール・カタール・ブータン・ネパール・スリランカ・フランス・モーリシャスなど8カ国で稼働中。カナダも次候補とされています。


🧭 まとめ:インドのビジョン ― “CBDCで世界をつなぎ、UPIで国内を動かす”

項目内容
主な提案者サンジャイ・マルホトラ(RBI総裁)
主張国際送金にはCBDCを、国内決済はUPIで十分
目的各国のCBDC導入を促進し、世界的な相互運用性を確保
補足ステーブルコインは資産トークン化には有効だが、通貨制度の基盤には不向き
成果インドはCBDCとUPIを両輪に、デジタル金融の主導権を拡大中

結論:
インドは、UPIを国内決済の完成形として維持しつつ、CBDCを国際送金の未来形として推進
マルホトラ総裁は「CBDCこそが安全で効率的なグローバル金融インフラを実現する鍵」と位置づけ、
世界各国に導入加速を求めました。

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