
【まとめ】UAEがデジタルディルハム(CBDC)パイロットを開始 — 世界で広がる中央銀行デジタル通貨の現在地(2025年版)
2025年11月、アラブ首長国連邦(UAE)はデジタルディルハム(Digital Dirham)パイロットを正式に開始し、世界的なCBDC(中央銀行デジタル通貨)開発競争の最前線へと名乗りを上げました。
世界ではすでに137か国(世界GDPの98%)がCBDCに取り組んでおり、UAEの参入はその流れをさらに加速させています。本記事では、UAEの最新動向を中心に、世界のCBDCの「今」を整理します。
1. UAEがデジタルディルハムのパイロットを開始
■ 初のブロックチェーン決済を実施
2025年11月11日、UAE中央銀行はデジタルディルハムを用いた初のブロックチェーンベース取引を実行。
■ デジタルディルハムの特徴
- リテール向けCBDC
- 1:1でUAEディルハム(AED)と連動
- mBridge(UAE・中国・香港・タイが共同開発)を利用
- 2026年にP2P・商用・国際送金へ段階的に拡大
- 本格ローンチは2026年末を予定
UAEは、低コストな海外送金(GCCの主要経済要因)と、透明性・安全性の向上を目指しています。
2. 世界のCBDC:137か国が開発・試験中
現在、世界のCBDC状況は以下のステージに分類されます:
- ローンチ済み:4か国
- パイロット中:49か国
- 開発中:72か国
CBDCは、
- 決済インフラ近代化
- クロスボーダー送金の効率化
- 金融包摂
- 現金管理コストの削減
- 民間暗号資産への過度な依存回避
といった目的で導入が進んでいます。
3. 完全ローンチ済みCBDC:4か国のみ
世界的な注目にもかかわらず、実際に本稼働しているCBDCはわずか4つ。
① バハマ — Sand Dollar(2020)
世界初のリテールCBDC。
ウォレット20万超だが、流通量は通貨全体の1%未満。
② ナイジェリア — eNaira(2021)
アフリカ初。
ウォレット1300万に達したが、週次アクティブ率は1.5%未満。
③ ジャマイカ — JAM-DEX(2022)
キャッシュ依存の高い社会向けに導入。
流通は増加中も、利用は依然として限定的。
④ ジンバブエ — ZiG(2024)
金・ドルなどのハイブリッド資産で裏付け。
導入後に正式部門の取引の43%を占めるも、
通貨価値が94%下落するなど信認確保には課題。
4. パイロット中の主要CBDC(49か国)
● 中国(e-CNY)
世界最大のCBDCパイロット。交通・政府支払・商業利用まで拡大。
● インド(e-Rupee)
小売・卸売の両方でテスト継続、2026年に規模拡大。
● ブラジル(DREX)
トークン化資産との統合を推進。
● EU(デジタルユーロ)
2028年の導入可否を見据えて試験中。
● 韓国(デジタルウォン)
銀行および決済事業者との相互運用性を検証。
その他のパイロット国
インドネシア、カザフスタン、フィリピン、ロシア、トルコなど、
多数の国が送金・政府調達・公共支払いでCBDCを試験中。
5. 開発・研究段階の国(72か国)
英国、日本、マレーシア、ケニア、イランなどが
技術モデル・規制設計・経済影響を検討中。
■ 米国は“最大の欠席者”
政治対立・プライバシー懸念でデジタルドルは停滞。
一方で、民間ステーブルコイン市場のみ急成長というアンバランスな状態。
■ 先進金融市場の動き
- シンガポール、香港、日本は
小売CBDCよりも、トークン化預金や卸売型システムに重点を置き、
より現実的で即効性のある領域で革新を進めている。
6. CBDCが目指す未来:なぜ今世界中で動いているのか?
CBDC導入が急速に進む背景には以下のニーズがあります:
✓ クロスボーダー送金の高速化・低コスト化
✓ キャッシュレス社会に適した公共インフラ整備
✓ 金融包摂の推進
✓ 暗号資産への規制的対抗軸
✓ マネーロンダリング対策強化
✓ デジタル経済時代の金融主権確保
UAEのデジタルディルハムは、まさにこれらの要請に応えた最新例です。
■ UAEがデジタルディルハム(CBDC)パイロットを開始の結論:UAEは“第二波CBDC国家”の中心へ — 世界は実装フェーズに向かう
UAEのパイロット開始は、
“実証から実装へ”移行しつつあるCBDCの第二段階において象徴的です。
世界では確かに137か国がCBDC研究を行っていますが、
本当に使われているケースはまだ極めて少ないのが現状。
今後は:
- 国際送金の標準化
- mBridgeなどの多国間プラットフォームの拡大
- 小売CBDCのユーザー体験改善
- 信認確保(特に新興国)
- 民間ステーブルコインとの役割分担
が焦点となり、
2026〜2030年はCBDCの本格的な「実運用時代」に突入する可能性があります。




