
IMF、新たなCBDCフレームワークを発表──国際標準づくりで主導的役割へ
国際通貨基金(IMF)は、世界各国の中央銀行が 中央銀行デジタル通貨(CBDC)導入を検討・実装する際の包括的な指針 となる新フレームワークを公開した。すでに30以上のCBDCプロジェクトに関与しているIMFは、今後も毎年4~5章を追加しながら「CBDCハンドブック」を拡張していく方針だ。
CBDCに必要な全工程をカバーする「実務ガイド」
今回のフレームワークは、
- 初期の技術リサーチ
- システムアーキテクチャ設計
- インフラ整備
- 全国規模でのロールアウト
まで、一連のプロセスを体系的に整理。とりわけ、台帳構造(ledger design)や決済インフラのガバナンスモデル といった中核テーマに対し、実務的な意思決定支援を提供する。
“統合台帳(Unified Ledger)” を中核に据える提案
IMFは、
中央銀行が直接運営する統合型台帳上に、準備金とトークン化資産を一元的に配置するモデル
を推奨。これにより以下の効果が期待される:
- 決済プロセスの簡素化
- 複数の資産・プラットフォーム間の整合性向上
- システム全体の効率性向上
一方で、
リスク管理・相互運用性・運営権限の集中
など、ガバナンス面での課題も指摘している。
「一律ではない」CBDC設計──中央銀行の使命が羅針盤に
IMFは、CBDCの導入が「万能の解」ではない点を強調。
各国の中央銀行は、
- 金融安定性の維持
- 経済のレジリエンス
- 金融インクルージョン
など、それぞれの使命に基づき、異なる設計判断を下す必要があるとする。
実例:香港・韓国──ホールセールCBDCが示す将来像
ホールセールCBDCの実証では、
香港(HKMA) と 韓国(BOK) の事例が注目されている。
両国のパイロットは、
- トークン化された準備金による24/7決済
- カウンターパーティリスクの低減
- 決済スピードと透明性の向上
など、次世代決済インフラの具体像 を示すものとなっている。
IMFは「CBDC時代の標準化」の中心へ
今回のフレームワークは、
IMFが今後 CBDCの国際標準づくりを主導する意思の表明 と言える。
デジタルマネーへの移行が加速する中、
各国の中央銀行・金融当局は明確なガイドラインを求めており、
IMFはまさにその需要に応えようとしている。
結論として、
CBDCsは“ここに定着する”技術領域であり、IMFはそのグローバル・ルールメーカーとしての地位を固めつつある。





