CBDCの需要低下と機関投資家のデジタル資産選好の変化：金融業界の新たな潮流

Citiの最新調査結果は、機関投資家のデジタル資産に対する姿勢の大きな変化を示しています。この変化は、金融業界全体のトレンドと規制環境の影響を反映しており、今後のデジタル金融の方向性を示唆しています。

CBDCへの需要減少

調査によると、デジタル資産決済におけるCBDC（中央銀行デジタル通貨）の需要が大幅に減少しています。昨年52%だったCBDCへの需要が今年は15%にまで落ち込んでいます[1]。この変化は、機関投資家がより柔軟で即時性の高い決済手段を求めていることを示唆しています。

代替的デジタル決済手段の台頭

CBDCの代わりに、非銀行系ステーブルコイン、トークン化された預金、トークン化されたMMF（マネーマーケットファンド）などの代替的デジタル決済手段への関心が高まっています[1]。これらの手段は、より迅速な取引処理と柔軟性を提供する可能性があります。

地域間の差異

デジタル資産の採用には地域間で大きな差があります。北米では規制の逆風により商用規模の展開が遅れている一方、ラテンアメリカとヨーロッパでは17%、アジア太平洋地域では12%の回答者が実際のプロジェクトを展開していると回答しています[1]。

今後の展望と対応策

規制環境の整備: 各国・地域の規制当局は、イノベーションを促進しつつリスクを管理する均衡のとれた規制枠組みを構築する必要があります。
インフラ整備: Citiの調査が示すように、自動化、クラウドインフラ、APIへの継続的な投資が期待されています[1]。金融機関はこれらの技術への投資を加速させるべきです。
パブリック・プライベートの融合: 金融市場インフラ（FMI）が管理するプライベートブロックチェーンや、パブリックパーミッションドチェーンへの関心が高まっています[1]。この傾向を踏まえ、両者の長所を活かしたハイブリッドソリューションの開発が有効かもしれません。
国際協調: デジタル資産の国境を越えた性質を考慮すると、各国・地域間での規制の調和と協力が不可欠です。

デジタル資産市場は急速に進化しており、機関投資家の選好も変化し続けています。金融機関、規制当局、テクノロジー企業は、この変化に柔軟に対応しつつ、安全で効率的なデジタル金融エコシステムの構築に向けて協力していく必要があります。

Citations:
[1] https://www.ledgerinsights.com/citi-survey-finds-fewer-institutions-want-cbdc-for-digital-asset-settlement/