中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)は、世界中でますます注目を集めています。ですが各国の足並みが揃っていない現状、一体どのような要因が“CBDC導入の波”を生み出しているのでしょうか?
BIS(国際決済銀行)が2024年7月に公開した最新レポートでは、中心となる経済大国の姿勢やメディア発信が、他国――特に発展途上国――の中央銀行の動きに直接影響を与えていることがわかりました。今回の記事では、この「CBDCムードの伝播」現象と、その背後にあるグローバルな情報連鎖の仕組みについて、わかりやすく解説します。
以下は、BIS(国際決済銀行)の研究「Central banks’ CBDC sentiment can prove contagious」に関するまとめ記事です。
CBDC戦略は連鎖する?BIS最新研究が示した中央銀行間の“ムード伝播”とは
- BISの研究が指摘
世界主要経済国の中央銀行がCBDCについてどのような姿勢を示しているかは、発展途上国など他地域の中央銀行にも大きく影響を及ぼすことが明らかにされました。 - 研究の手法
2024年7月18日に公表されたこのワーキングペーパーでは、15ヵ国のメディアや中央銀行の発信をLLM(大規模言語モデル)で分析し、CBDCに対する感情(ポジティブかネガティブかなど)を抽出しています。 - 主な結論
- 先進国の中央銀行がCBDCに対して前向きな姿勢を見せれば、その動向が他国の中央銀行の態度にも波及しやすい。
- 特に経済力が小さい国や成長途上国は、主要経済国の情報や態度に影響されやすい傾向がある。
- 意義
- 金融インフラや規制環境が異なるにもかかわらず、先進国のCBDC戦略が世界の金融政策全体に連鎖的なインパクトを与える。
- メディアと中央銀行声明の分析から、国際的な「CBDCムード」の連動性が定量的に可視化された。
ポイントまとめ:
- 先進国のCBDCに対する積極的・消極的な発言や報道が、他国におけるCBDC議論に影響。
- 発展途上国ほど外部の意見や流れに敏感。
- 中央銀行や金融政策当局者は、グローバルな情報連鎖を意識したコミュニケーションが求められる。