以下は、記事「China proposes global rules for central bank digital currencies」(トム・ウィルソン、マーク・ジョーンズ著、2021年3月26日付)の要約です。

🇨🇳 中国、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国際ルール提案
2021年3月25日、中国人民銀行(PBOC)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国際的なルール作りを提案しました。この提案は、CBDCの相互運用性、監視、情報共有など、非常にデリケートな分野にまで踏み込んでいます。
🔍 背景:世界各国のCBDC開発競争
各国の中央銀行は、金融システムの近代化、ビットコインなどの暗号資産への対抗、そして国際送金や国内決済の高速化を目指してCBDCを検討中です。
中国はこの分野で最も先行しており、「デジタル人民元(e-CNY)」のパイロットプログラムを急速に拡大しています。
🧩 提案の主な内容(PBOC・穆長春氏発表)
人民銀行デジタル通貨研究所の所長である穆長春(Mu Changchun)氏は、国際決済銀行(BIS)のセミナーで以下のポイントを強調しました:
- 相互運用性の確保:
各国のCBDCシステム間でスムーズに交換・利用できるようにする。 - 情報と資金の同期:
取引を監督当局が適切に監視できるよう、資金の流れと情報の流れを連携させる。 - DLT技術による為替プラットフォーム:
ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を活用した監督可能な外国為替プラットフォームの構築を提案。
💰 世界経済とドル覇権への影響
PBOCは、CBDCを人民元の国際化およびドル依存脱却の手段と位置付けています。
もし国際貿易でCBDCが広く利用されるようになれば、米ドルの基軸通貨としての地位が揺らぐ可能性があると、多くの専門家が指摘しています。
一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、
「先行するよりも正確に進めることが重要」
と述べ、慎重姿勢を維持しています。
🌍 欧州の動きと各国の対応
- **欧州中央銀行(ECB)**は「デジタルユーロ」の導入を検討中(5年以内を目標)。
ただし、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク)は、銀行業への影響を懸念し慎重姿勢を示しています。 - 中国政府は、国内消費を刺激し経済成長を支えるために、デジタル人民元の試験運用を加速する方針も同日に発表しました。
⚖️ グローバルルールの理念
穆長春氏は、CBDCに関する国際ルールとして以下を提案:
- 各国中央銀行は**「公正なデジタル通貨の供給」**を行うべき。
- ある国のCBDCが他国の金融・通貨政策の安定を阻害してはならない。
🧭 要約まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表機関 | 中国人民銀行(PBOC) |
| 発表者 | 穆長春(Mu Changchun)氏 |
| 主な提案 | 相互運用性、監視体制、DLT為替プラットフォーム |
| 目的 | CBDCの国際標準化・人民元の国際化促進 |
| 影響 | ドル覇権への潜在的挑戦、金融システムの再構築 |





