
Fireblocks、オーストラリア「Project Acacia」でCBDCとステーブルコイン革新を推進
オーストラリア準備銀行(RBA)とデジタル金融共同研究センター(DFCRC)が主導する「Project Acacia」は、CBDC(中央銀行デジタル通貨)、ステーブルコイン、デポジットトークンといったデジタルマネーの活用可能性を検証する研究プロジェクトだ。目的は、ホールセール型トークン化資産市場の発展を支える新たな決済基盤を設計・試験することにある。
■ プロジェクトの二段階構成
- フェーズ1(2024年完了)
デジタルマネーを用いた決済モデルの設計フレームワークを策定。概念研究に重点を置いた段階。 - フェーズ2(進行中)
選定モデルを基にプロトタイプを開発し、業界主導のユースケースに沿った実証試験を展開。
■ Fireblocksのユースケース参加
Fireblocksは主要ユースケースで、ホールセールCBDCによるトークン化証券のアトミック決済を実証している。
協力パートナーには NotCentralised、Redbelly Network、Australian Bond Exchange(ABE)、Northern Trust、Fasanara Capital などが参加。
このユースケースが目指すのは:
- 許可型パブリックブロックチェーン上での発行・取引・決済のシームレス化
- CBDCとステーブルコインやデポジットトークンの組み合わせによる柔軟な決済インフラ
- プログラマブルなオンチェーン決済による効率性向上・リスク軽減・高い相互運用性
実証取引は豪州市場を想定し、豪ドル建てで商業銀行マネーとwCBDCをRedbellyブロックチェーン上で交換して証券の所有権移転を実施。将来的には実資産・実マネーを用いたライブパイロットへ進む計画だ。
■ Fireblocksの技術的貢献
Fireblocksは取引ライフサイクル全体を支えるインフラを提供:
- Workspaces:参加者専用の安全な環境で資産のトークン化・発行・移転を可能に
- Settlement Contract:ABE管理下でDvPスワップを実行し、複数のデジタルマネーを統合利用
- Singleness Smart Contract:商業銀行マネー、ステーブルコイン、wCBDC間の1:1交換を可能にし「マネーの同一性」を保証
- Wallets:MPC技術とハードウェアセキュリティを組み合わせた多層防御アーキテクチャ
■ 展望
Fireblocksは第1フェーズで得た知見を活かし、CBDCと民間発行デジタルマネーが安全・効率的に共存する次世代デジタル金融インフラの構築を進めている。これにより、将来的にスケーラブルでリスクを抑えたトークン化資産市場の実現が期待される。