Project Agorá: 国際決済の未来を切り開くBISの新たな試み
国際決済システムの近代化を目指すBIS(国際決済銀行)の「Project Agorá」は、41の金融機関が参加する大規模な試験プロジェクトとして注目を集めています。このプロジェクトは、統一されたレジャー、トークン化された預金、および7つの中央銀行のホールセールCBDC(中央銀行デジタル通貨)を活用して、従来のコルレス銀行業務を革新することを目的としています[1]。
プロジェクトの背景と目的
- 国際決済の課題: 現在、国際送金における大きな障害はコンプライアンスです。各銀行が独自にチェックを行うことで、結果が異なる場合があり、これが大幅な遅延を引き起こしています。Project Agoráは、支払いプロセスの開始時点でスクリーニングを実施し、その結果を銀行間で共有することで、この問題を解決しようとしています[1]。
- トークン化の利点: トークン化により、メッセージと資金移動が分離されることなく処理されるため、資金が宙に浮くことなく確実に移動するかどうかが明確になります。これは利用者にとって大きな利点です[1]。
参加機関とプロジェクトの進行
- 参加機関: 参加する41機関のうち35は、フランス(ヨーロッパ代表)、メキシコ、ニューヨーク(NYIC)、スイス、イングランド、日本、韓国から選ばれた銀行です。その他にはVisa、Mastercard、金融市場インフラとしてSwiftやEurex Clearingなどが含まれています[1]。
- プロジェクトの進行: プロジェクトは2025年末まで続き、その時点で報告書が発表される予定です。現在は設計段階に入っており、この試験から得られる教訓は将来の金融市場インフラストラクチャー構築の基盤となることが期待されています[1]。
考察
Project Agoráは、新しい技術を活用して国際決済システムを効率化しようとする意欲的な試みです。特にトークン化された預金やCBDCの使用は、従来のコルレス銀行システムに代わる新しいモデルとして注目されています。しかし、このプロジェクトはまだ実験的な段階であり、その成功には技術的課題や規制上の問題を克服する必要があります。今後、このプロジェクトがどのように進展し、国際金融システムにどのような影響を与えるか注視する必要があります。
Citations:
[1] https://www.ledgerinsights.com/41-institutions-join-bis-tokenized-cross-border-payment-project-agora/