以下は、記事 「RBI eyes market transformation with CBDC-based tokenization」(出典:CoinGeek、2025年10月17日)の日本語まとめです。
インド準備銀行(RBI)の最新デジタル戦略が、金融インフラと市場構造をどのように変革しようとしているのかを詳しく整理しました。

🇮🇳 概要:RBI、CBDCを基盤に金融資産のトークン化へ
インド準備銀行(RBI)は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の卸売版「e₹-W」を活用し、金融資産と決済のトークン化を進める計画を発表しました。
これは、譲渡性預金証書(CD)のパイロット実験で市場効率の改善が確認されたことを受けたものです。
RBI総裁のサンジャイ・マルホトラ(Sanjay Malhotra)氏は、トークン化がインド金融市場に「アクセス拡大・透明性向上・スマートコントラクトによる効率化」をもたらすと強調しました。
💡 トークン化の意義と仕組み
資産のトークン化(Asset Tokenization)とは、不動産や預金などの実世界資産(RWA)をブロックチェーン上のデジタルトークンとして発行し、
分割所有・取引の効率化・スマートコントラクトによる自動決済を可能にする仕組みです。
RBIはこの技術を次世代金融市場基盤「Unified Markets Interface(UMI)」に組み込み、
金融資産・決済・清算をすべてデジタル化することを構想しています。
🪙 卸売CBDC「e₹-W」とその役割
- e₹-W(Wholesale CBDC)は、銀行間取引や金融機関間の資金決済に特化したデジタル通貨。
- RBIが信頼の基軸としてすべてのトランザクションを仲介する。
- このCBDCが資産トークン化の中核基盤として機能。
マルホトラ総裁は「デジタル・ルピー(e₹)はインドのデジタル公共基盤(DPI)の新たなレール」であり、既存の統合決済インターフェース(UPI)との連携も進めると説明しました。
👥 CBDC活用の社会的応用
RBIのプログラム可能なCBDCは、政府補助金や支援金の効率的配布にも活用されています。
- G-SAFAL(グジャラート州):農業資材に限定した生活支援補助金をCBDCで配布。
- DEEPAM 2.0(アーンドラ・プラデーシュ州):ガス補助金を受取時にCBDCで支給。
このように、プログラマブル機能により、補助金の不正利用防止や配布の即時性が実現しています。
🔗 データ統合と金融包摂:次のステージへ
マルホトラ総裁は、インドのデジタル変革の次段階を「データ統合とAI活用による金融包摂の深化」と位置付けました。
🧾 アカウント・アグリゲーター(AA)制度
- 個人の金融データを安全に共有できる仕組み。
- 17のAA、650のFIU、150のFIPが参加。
- 1億6千万口座、36億以上のデータ要求を処理。
- RBIは標準化・透明性・セキュリティ強化のため新規ガイドラインを策定中。
💳 ユニファイド・レンディング・インターフェース(ULI)
- 2023年に導入されたデータ駆動型の融資基盤。
- 2025年10月時点で120のデータソース、58の金融機関が参加。
- **320万件の融資、総額1.75兆ルピー(約2.1億ドル)**を実行。
- クレジット履歴のない人々にも融資機会を提供。
🤖 AIによる次世代デジタル公共インフラ(DPI)
AIは次の2つの方向でDPIを進化させると総裁は述べました。
- 既存DPIとの統合:音声認識や会話型支払いにより、デジタルリテラシーが低い層の利用を促進。
- AIそのものを公共インフラ化:金融データの標準化、計算リソースの確保、ローカルAIモデルの育成。
また、RBIのFREE-AI委員会は、AIを金融セクターの公共基盤として整備するための提言を行っています。
🏁 総裁の結論
マルホトラ氏は次のように総括しました:
「この10年でテクノロジーはアクセスを拡大し、企業を力づけてきた。
次の段階では、その基盤の上に信頼と安定性を中心に据えた金融未来を築くべきだ。」
🧩 🇮🇳 概要:RBI、CBDCを基盤に金融資産のトークン化へのまとめ
- RBIはCBDCを基盤にトークン化・AI・データ統合を融合させ、
透明で効率的な次世代金融市場を構築しようとしている。 - トークン化は単なる技術革新ではなく、
金融包摂と国家的デジタルインフラの進化を牽引する柱となりつつある。





